賀茂茄子の味噌田楽

伝統ある京野菜の中でも人気が高いのが賀茂なすです。直径10cmを超える丸いかたちが特徴で、煮炊きしても煮崩れせず、「ナスの女王」ともいえる風格と味わいを兼ね備えた逸品です。上賀茂地区は、西に鴨川、東に高野川に挟まれた肥えた土地だったため、賀茂なす以外の野菜も古くから生産されてきました。賀茂なすは、1本からできる実の数が通常のなすの半分ぐらいと少なく、また、実が割れやすいなど、栽培が難しいことで知られています。賀茂なすを使った代表的な料理が「賀茂なすの味噌田楽」です。この加茂なすの味を最大限に堪能できる一品をご提案します。

竹の子

日本のタケノコは、中国の孟宗竹を京都西山に植えたのがはじまりといわれ、それが日本各地に広がったとされています。京都の乙訓地域は向日市、長岡京市などからなり、古くから、京都と大阪を結ぶ交通の要衝となっており、「古事記」や「日本書紀」にも、地域名の由来となった「オトクニ(弟国)」が記されています。784年には桓武天皇が「長岡京」に遷都し、また、「竹取物語」の発祥の地とも伝えられています。その乙訓地域でとれる京たけのこは、甘みが強く肉厚で柔らかなのが特長です。また、えぐみがないため、新鮮なものは刺身でも食べられます。春の訪れを伝えてくれる一品をご提案します。

西京漬け

西京漬けは、京都の白味噌を使った味噌床に、季節の魚や肉の切り身などを漬け込んで作る伝統料理です。京都の白味噌は、公家・宮廷文化の中で育まれ、普通の味噌に比べて塩分が控えめで甘みが強いのが特徴です。もともとは、海から離れた京都で、美味しい魚を食べられるよう保存性を高めるため、味噌に漬け込んだことが始まりとされています。今は素材の旨味を引き出すために味噌に漬ける意味合いが強くなっています。京都の歴史と風土が育んだ伝統の一品をご提案いたします。

ハモは、京都の祇園などを初め夏の京料理には欠かせない魚です。暖流の影響を受ける海域に生息しており、丹後の海では年に数トン水揚げされています。しかし、京都で食べられているハモの多くは瀬戸内や玄界灘などで獲れたものといわれています。ハモは、大きいものは2m近くになり、肉質は美しい白身で淡白な味わいです。ハモは小骨が多く、調理の際に「骨切り」という独自の熟練した技術が必要で、「京都の料理人は骨切りを覚えてから一人前」といわれるほどです。それでも夏の京料理の食材として根づいたのは、生命力の強いハモが、遠方から京都まで生きたまま運べたからだとされています。